改訂新版 世界大百科事典 「クロロコックム」の意味・わかりやすい解説
クロロコックム
Chlorococcum
単細胞で球形,非遊泳性の緑藻クロロコックム目クロロコックム科の1属で,水田,池沼などのほか土壌中や樹皮上などに生育する。この属には約40種が知られるが,いずれも属の特徴である1個の杯状の葉緑体をもつ。有性生殖,無性生殖ともに,2本の鞭毛をもつ先端のとがった卵形の配偶子または遊走子を形成することによって行われる。接合子は初め球状であるが,成熟するにつれて表面に凹凸を生じ,またいぼ状突起をつくったりする。この状態で乾燥などの不良な環境条件をしのぎ,やがて水分などに恵まれると,接合子の内部に8~24個,またはそれ以上の遊走子を形成する。遊走子は細胞壁を破って外部に泳ぎだす。近縁の属に,盤状の葉緑体を多数もつブラクテアコックスBracteacoccusや車軸状の葉緑体をもつトレボウキシアTrebowxiaなどがあり,後者は地衣類の共生藻として知られる。
執筆者:千原 光雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報