改訂新版 世界大百科事典 の解説
クロンクハイト=カナダ症候群 (クロンクハイトカナダしょうこうぐん)
Cronkhite-Canada syndrome
1955年にアメリカのクロンクハイトL.W.CronkhiteとカナダW.J.Canadaが珍しいポリポーシス(無数のポリープがある状態)として報告した,胃腸のポリポーシスと脱毛,つめの変形や脱落,皮膚の褐色変化を伴う疾患。ポリープは胃,小腸,大腸に無数に発生するが,他のポリポーシスとは明らかに異なって腫瘍でも炎症でもない。原因不明のまれな病気。家族発生はなく,中・高年者に多い。軟便に始まり,ひどい下痢,食欲不振,体重減少が進行する。タンパク質と電解質の喪失が著しい。各種の消化吸収試験とともに,内視鏡でポリープの一部を採取して顕微鏡で検査すれば診断は容易。従来は著しい消耗のため死亡することがあったが,入院して強制的栄養管理を行うことにより進行を止めることができる。不可欠アミノ酸の欠乏が毛髪,つめ,皮膚に影響を与えているようであり,十分な栄養により,毛髪やつめは回復し,ポリープは消失する。
→腸管ポリープ
執筆者:酒井 義浩
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報