改訂新版 世界大百科事典 「クワノミモ」の意味・わかりやすい解説
クワノミモ
Pandorina morum Bory
2本の鞭毛をもつ球形ないし楕円形に近い細胞が16~32個接着し,あたかもクワの果実を思わせる形状の生物で,分類上,植物としてはボルボックス目ボルボックス科パンドリナ属に所属する群体性緑藻。また,動物としてはカタマリヒゲマワリという和名で呼ばれ,原生動物門有毛根虫亜門鞭毛虫上綱植物性鞭毛虫綱ボルボックス目に属する。群体の全形はほぼ球形で,径30~60μm。構成細胞は大きさ約10μmで,内部に1個の杯状の葉緑体とピレノイドをもつ。有性生殖は同型配偶子の接合であり,無性生殖は栄養細胞がそのまま分裂して母群体と基本的に同じ群体をつくることによる。世界各地の水田,池,湖沼などに生育する。近縁の緑藻に,平面的な群体をつくるゴニウム属Gonium(ヒラタヒゲマワリG.pectraleなど),立体的な群体であるが細胞が接着しないユウドリナ属Eudorina(タマヒゲマワリE.elegansなど),群体の前半部は生殖機能のない小型細胞で構成されるが,後半部は生殖機能をもつ大型細胞で構成されるプレオドリナ属Pleodorina(ヒゲマワリP.californicaなど)などがある。いずれも淡水産で,水田,池,湖沼,水たまりなどに生育する。
執筆者:千原 光雄+今島 実
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報