グアノシン三リン酸(読み)ぐあのしんさんりんさん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「グアノシン三リン酸」の意味・わかりやすい解説

グアノシン三リン酸
ぐあのしんさんりんさん

生体内に広く分布する化学物質で、GTPと略称される。グアノシンリボースの5'ヒドロキシ基に3分子リン酸が結合したもので、ATPアデノシン三リン酸)などと同様に高エネルギーリン酸化合物である。RNAリボ核酸合成の直接の前駆体の一つとして非常に重要であり、またフォスフォエノールピルビン酸キナーゼなど、いくつかの酵素のリン酸供与体としても働く。細胞内のタンパク質合成においては、いくつかの段階で必須(ひっす)因子として、またホルモンで刺激される細胞内情報伝達経路の調節因子として重要な働きをしている。そのほか、GDP-マンノースなど、糖合成において前駆体となる糖ヌクレオチドのいくつかの合成にGTPが用いられる。

[笠井献一]

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世界大百科事典(旧版)内のグアノシン三リン酸の言及

【タンパク質合成(蛋白質合成)】より

…各種のアミノ酸分子が,相互にカルボキシル基とアミノ基との間で脱水縮合を続けていく反応であり,ポリペプチド合成反応とも呼ばれる。アミノ酸からポリペプチドを形成する反応にはエネルギーが必要であるが,高エネルギーリン酸結合をもつATP(アデノシン三リン酸)とGTP(グアノシン三リン酸)とがエネルギー源として働く。アミノ酸はATPにより活性化され,アミノ酸のカルボキシル基とtRNAの3′末端のリボースの水酸基とで共有結合を形成し,アミノアシルtRNAとしてリボソームへと運ばれる。…

※「グアノシン三リン酸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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