日本大百科全書(ニッポニカ) 「グァレスキ」の意味・わかりやすい解説
グァレスキ
ぐぁれすき
Giovanni Guareschi
(1908―1968)
イタリアの大衆作家。小説『ドン・カミロ』のシリーズで著名。早くからジャーナリズムの世界で新聞、雑誌の編集に携わり、『運命の名はクロティルデ』(1942)によってユーモア作家として認められた。1943年、ナチス占領軍への恭順を拒んだためポーランドの収容所で1年半を過ごす。帰国後、自らの主宰する週刊誌『カンディード』に、軽妙な挿絵を付した『ドン・カミロ』の短編連作を掲載。自らの生地であるポー川流域エミリア地方の小村を舞台に、ともに善良であるが単純で粗忽者(そこつもの)の司祭ドン・カミロと共産党員の村長ペッポーネとの対立と友情を、笑いとペーソスのうちに描いた同連作の集成全4冊(1948~69)によって絶大な人気を博した。フランスのJ・デュビビエ監督による最初の映画化『陽気なドン・カミロ』(1951)は、フェルナンデル扮(ふん)するドン・カミロが大好評で彼の当り役となり、ドン・カミロの名は一躍世界的に知られ、シリーズとして映画化された。
[古賀弘人]
『古賀弘人訳『ドン・カミロ』(『キリスト教文学の世界17 パヴェーゼ、グァレスキ、パゾリーニ』所収・1977・主婦の友社)』