日本大百科全書(ニッポニカ) 「グランビル・バーカー」の意味・わかりやすい解説
グランビル・バーカー
ぐらんびるばーかー
Harley Granville-Barker
(1877―1946)
イギリスの演出家、劇作家。ロンドン生まれ。『ボイシー家の遺産』(1905)など数編の戯曲も書いたが、彼の真価は演出で発揮された。B・ショーなどの近代劇の演出に力を注ぎ、とくにジョン・E・ベドランJohn E. Vedrenne(1867―1930)と組んでロイヤル・コート劇場でのイプセンやゴールズワージーなどの上演活動(1904~1907)は演劇史に残る業績である。劇作家の意図を重んじ、登場人物の心理をもとに丹念に造形していく演出方法は、演出家の創意を主張するG・クレイグと対照的であった。1918年ごろからおもに著述活動に入り、スペイン戯曲の翻訳や名著『シェークスピア序説』5巻(1927~1947)を世に送った。
[中野里皓史]