改訂新版 世界大百科事典 「グルサ」の意味・わかりやすい解説
グルサ
Edouard Goursat
生没年:1858-1936
フランスの数学者。1876年パリのエコール・ノルマル・シュペリウールに入学し,当時,フランス数学の指導的地位にあったC.É.ピカール,C.エルミートなどの影響の下に早くから数学を志し,81年に理学博士を授けられた。1879年パリ大学講師,その後種々の大学の職を歴任し,97年パリ大学の数学解析担当教授となり,定年退官するまでその職にあって,研究はもちろん,教育の面においてもフランスの解析学の発展に大きな影響を及ぼした。彼の研究は当時の解析学のあらゆる分野にわたっているが,とくに複素解析学の基本定理の明確化を行ったコーシー=グルサの定理は有名である。偏微分方程式,とくに1階偏微分方程式,パフ形式の理論などの理論整備,発展に残した業績は大きい。彼の名まえを不朽にしたのは,その大著《数学解析講義》(1902-05)である。この書物は当時の解析学の主要な題材をほとんどすべて含んだ新しいものであり,その平易,明快な叙述と合わせて,長い間フランス解析学の教本となり,国際的にも高い評価を受け続けた。
執筆者:溝畑 茂
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報