化学辞典 第2版 「ケイ酸三カルシウム」の解説
ケイ酸三カルシウム
ケイサンサンカルシウム
tricalcium silicate
3CaO・SiO2.酸化カルシウムと二酸化ケイ素が結合した組成の化合物の総称であるケイ酸カルシウム塩の一つであり,慣用名ケイ酸三石灰として知られる.炭酸カルシウムと二酸化ケイ素粉末を3CaO・SiO2の組成比に混合して1500 ℃ 以上で焼成すると得られる.純粋系は常温で三斜晶系であるが,920 ℃ で単斜晶系になり970 ℃ で三方晶系となる.この変化は可逆であり,構造上の変化は非常に少ないので常温では擬三方晶系ともいえる.固溶体系は常温では単斜晶系であり,800~900 ℃ で三方晶系となる.純粋系,固溶体系ともに水と反応し,非常に速く水和硬化するので,ポルトランドセメントとして応用されている.[CAS 12168-85-3]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報