クリンカー(読み)くりんかー(英語表記)clinker

翻訳|clinker

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クリンカー」の意味・わかりやすい解説

クリンカー
くりんかー
clinker

溶融または部分的に溶融あるいは半溶融状態になった塊で、焼塊(しょうかい)ともいう。たとえば次のようである。

(1)燃料燃焼によって窯の中に残った灰の一部。灰の中にフラックスflux(他の物質に混合すると、そのものの融点を下げる物質。融剤または媒溶剤ということもある)が多いと、灰が受ける温度以下で融点に達し、その結果溶け始め、窯の火格子や壁面に融着する。

(2)石灰石粘土との混合物を溶け始める温度で焼成して得られる塊。この型のクリンカーを微粉砕すると、ポルトランドセメントのような水硬性セメントが得られる。

(3)多孔性のものと区別して、高度に溶化した状態のれんがまたはタイル

(4)焼成中に偶然に過焼されて部分的に溶融状態になり、変形したれんがなど。れんがの場合は過焼れんがと称する。

[素木洋一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クリンカー」の意味・わかりやすい解説

クリンカー
clinker

高熱によって半融解状態に固まった鉱物性物質。セメントクリンカー,マグネシアクリンカー,ドロマイトクリンカーなどがある。セメントクリンカーは,石灰石,粘土,酸化鉄,ケイ石を混合し,一部が融解するまで焼成して得られるが,これに石膏を加え細かく砕くとセメントが得られる。成分は複雑で,3CaO・SiO2 ,3CaO・Al2O3 ,2CaO・SiO2 ,4CaO・Al2O3・Fe2O3 の4種から成る。これら各成分は水と化合する速度がそれぞれ異なり,またセメントの強度に影響することが知られている。

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