改訂新版 世界大百科事典 「ケナガコナダニ」の意味・わかりやすい解説
ケナガコナダニ
Tyrophagus putrescentiae
もっともふつうのコナダニ科のダニで,多くの食品や粉末の薬品などに発生し,室内塵の中にも高率に見られる。体長は0.3mmほどで,乳白色で半透明,前体部に4本の長毛があり,体後縁近くから微細な側枝をもった6対の長毛を生ずる。雄の後体部に1対の大きな肛門吸盤を有する。卵から親ダニまでの発育日数は好条件下で10~11日を要し,親になった数日後から1日12個ほどを産卵する。この繁殖の数と速さは温湿度によって変化する。ケナガコナダニの繁殖至適条件は温度25℃,湿度75%である。本種は世界各国に分布し,日本でも全土からふつうに見いだされる。穀物,穀粉,干魚,チーズ,漬物,砂糖菓子,七味とうがらしなどあらゆる食品に繁殖し,人体内ダニ症の原因となることがある。その他新しい畳に大発生することがあり,これを室内塵とともに吸入するとダニがアレルゲンとなって鼻炎や気管支喘息(ぜんそく)を起こすことがある。
執筆者:金子 清俊
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報