デジタル大辞泉
「けれ」の意味・読み・例文・類語
けれ[接助]
[接助]係助詞「こそ」を受けた助動詞「う」「まい」に付き、逆接の意を表す。
「あれは心中者ぢゃと言はるる女郎をこそ、一生添うてござって面白うもござらう―、これはわが身へ難題を仰せかけらるると思ふ故に」〈浮・禁短気・一〉
[補説]近世上方語。「こそ多けれ」「こそよけれ」などのように、「こそ」を受けるク活用形容詞已然形活用語尾は「けれ」であるが、係助詞「こそ」
2の用法をこの「けれ」がもつという理解が生じて、用いられるようになったと言われる。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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けれ
- 〘 接続助詞 〙
- ① 「こそ」によって強められた前文の述語用言をうけ、逆接の関係で後文に続ける。近世初期の上方語。けれども。が。
- [初出の実例]「あれは見たよりは買徳(かいどく)な女郎といはれてこそ、うれしう御ざんしょけれ、女郎の身で、かいぞんといはるる役目はいやと」(出典:浮世草子・傾城色三味線(1701)湊)
- ② 原因、理由を表わす。ゆえに。から。
- [初出の実例]「『故に』といふは松山にて『ケレ』といふ。今では東京語『カラ』をいふ者多し」(出典:筆まかせ(1884‐92)〈正岡子規〉二)
- 「イナゴは温い所が好きぢゃけれ、大方一人で御這入りたのぢゃあろ」(出典:坊っちゃん(1906)〈夏目漱石〉四)
けれの補助注記
この助詞が現われたのは、文語の形容詞の「数こそ多けれ、すぐれたるは少し」の「多けれ」のような用法から、「けれ」そのものに「が」「けれども」の意があると考えたためであろうといわれる〔徳川時代言語の研究=湯沢幸吉郎〕。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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