コウヤザサ(読み)こうやざさ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コウヤザサ」の意味・わかりやすい解説

コウヤザサ
こうやざさ / 高野笹
[学] Brachyelytrum japonicum (Hack.) Hack. ex Honda

イネ科(APG分類:イネ科)の多年草。根茎は短くて分枝し、稈(かん)は細く斜め上に伸び、高さ50~70センチメートル。葉の表面と縁(へり)にまばらに開出毛がある。7~8月、稈頂に細長い円錐(えんすい)花序を出し、まばらに小穂をつける。小穂は細く、1個の小花があり、包穎(ほうえい)は護穎よりはるかに小さく、長さが異なる。護穎は線状披針(ひしん)形で、先はしだいに狭まり芒(のぎ)となる。山地の林下に生え、中部地方以西の本州から九州、さらに韓国の済州島、中国にも分布する。名は、和歌山県の高野山にちなんでつけられた。コウヤザサ属は北アメリカにもう2種あるだけの珍しい属である。

[許 建 昌 2019年8月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例