日本大百科全書(ニッポニカ) 「コマ劇場」の意味・わかりやすい解説
コマ劇場
こまげきじょう
劇場名。東宝の創始者小林一三(いちぞう)の発案で、1956年(昭和31)に大阪・梅田と東京・新宿に建設された。コマのように回る舞台をつくり、半円形に客席に張り出した新機軸を備えた設計で、従来の額縁舞台と違い客席と親密感があり、ショーや新しい芸能形態にふさわしい劇場として建設された。梅田コマ劇場は2階建て、新宿コマ劇場はワンフロアで、客席は舞台を中心に傾斜式に延び、客席数は梅田が2095、新宿が2321。株式会社コマ・スタジアムの経営。小林構想では、この劇場にふさわしい新しいスタイルの演劇、ショーを創造する目標があったようだが、現実にはコマ歌舞伎(かぶき)、コマ喜劇、歌手公演といった従来の演劇ジャンルにとどまっている。
[水落 潔]