コルクガシ(読み)こるくがし(英語表記)cork oak/

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コルクガシ」の意味・わかりやすい解説

コルクガシ
Quercus suber; cork oak

ブナ科の常緑高木で,スペインを中心とする南ヨーロッパ原産。樹高 18m,直径 1.5mに達する。幹の肥大生長とともに,皮層のなかに生じるコルク形成層の働きで幹の外側に著しい厚さのコルク層をつくる。樹齢 20年に達するとこのコルク層をはぎ取っても樹木生育は阻害されず新しいコルク層を再生するので,その後9年ごとにほぼ 150年ぐらいにわたって,厚さ4~5cmのコルクを収穫することができるという。コルクは細胞膜に木栓質 (スベリン) が沈着したもので,酸やアルカリに強く,適当な弾性があり,水や空気を通さないので,瓶の栓として最適である。また熱を伝導しにくいので断熱板として用い,軽いので浮きや救命具にも使われる。日本に自生するアベマキ Q. variabilisからも質は劣るがコルクをとることができる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コルクガシ」の意味・わかりやすい解説

コルクガシ
こるくがし
cork oak/
[学] Quercus suber L.

ブナ科(APG分類:ブナ科)の常緑高木。葉、実ともにウバメガシに似るが、幹や枝は太く、樹皮のコルク層が10センチメートル以上に発達する。コルク生産のために植林する。地中海沿岸に分布し、寒さや強風に弱い。関東地方南部以西で一部植栽されている。

[萩原信介 2020年1月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

カスハラ

カスタマー(顧客)とハラスメント(嫌がらせ)を組み合わせた造語「カスタマーハラスメント」の略称。顧客や取引先が過剰な要求をしたり、商品やサービスに不当な言いがかりを付けたりする悪質な行為を指す。従業...

カスハラの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android