植物の茎や根がその上下軸に対して直角の方向に増大する生長をさし,二次生長あるいは二次肥大生長ともいわれる。このような植物体の胴まわりを太くする生長は,木本性双子葉植物,裸子植物,単子葉植物の限られた種(センネンボク)などにみられる。現存のシダ類にはほとんどみられないが,化石シダ類のなかには二次生長の証拠を示すものがある。一次生長が茎および根の頂端分裂組織による細胞数の増加と個々の細胞の伸長によるのに対して,二次生長は維管束形成層のはたらきによる木部と師部の新生によっておこる。したがって,形成層の分裂能力が続くかぎり二次生長も継続する。木本性植物では,冬季に形成層の機能が不活発になることはあっても,春になれば再び活発化する。このサイクルが繰り返されることによって樹木は年々肥大し,内部にはその歴史をきざむものとして同心円状の層構造,すなわち年輪がつくられる。茎の維管束分化は次のように進行する。まず,前形成層由来の一次木部と師部のあいだに維管束形成層が分化する。次いで,一次維管束間の柔細胞が両者をつなぐような形で維管束間形成層として分化し,結局のところ茎のなかの形成層はリング状の連続した層となる。この層は通常,内側へは二次木部を,外側へは二次師部を形成して茎の肥大をもたらす。二次師部は二次木部にくらべて増大傾向が弱く,木部のように多年にわたって蓄積されるようなこともない。いわゆる木材として使用されるのは二次木部の部分である。木部と師部の成熟様式は植物の種に応じて多様であり,これは植物体に存在する物質の分布状態と関連があると考えられている。ハシドイ属Syringaを用いた実験によると,最終的な維管束成熟はオーキシンと炭水化物の均衡によって調節される。オーキシン濃度がショ糖に比して高いときは木部の分化が優勢となり,逆の場合には師部の発生が優勢となる。
執筆者:前田 靖男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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