樹木が芽生えてから経過した年数をいう。マツやモミなど、1年に1段ずつ規則正しく枝を伸ばす樹木では、枝やその痕跡(こんせき)による段の数を数えることによって樹齢を知ることができる。しかし、ほとんど伸長成長しない老木や日陰の樹木ではこの方法は適用できない。一方、おもに温帯地方に生育する樹木では、幹の肥大成長によって1年に一つの成長輪、すなわち年輪がつくられる。したがって、この年輪の数を幹の最下部で数えていけば樹齢を知ることができる。しかし、風害や虫害などによって材の形成が攪乱(かくらん)され、偽年輪(1年間に年輪状のものが二つ以上つくられること)ができることもあるので、正確な年輪は木を切り倒して数える必要があるが、直径40センチメートルくらいまでの木なら成長錐(すい)という道具を使って樹幹から円柱形の細い材片を取り出し、年輪を測定することもできる。なお、熱帯地方の樹木は、1年を通じて成長を続けるため年輪ができず、樹齢を知ることは困難となる。また、つる性のフジなどでは形成層が何層もできるため、単純にその年輪を数えると、実際の樹齢よりもきわめて大きい数となる。
樹齢は、種類によっておおよそは決まっているが、生育環境や生育の度合いによってかなり変化する。低木の樹齢は一般に短く、ハギ、ヤマブキなどは数年であるが、多くのものは十数年から数十年くらいである。高木では陽樹のハンノキ、アカメガシワなどが短く、数十年で枯れるが、多くは数十年から数百年生育し、長いものでは1000年を超える。日本でもっとも樹齢の長いのはスギで、鹿児島県屋久島(やくしま)にある「縄文杉(じょうもんすぎ)」は3000年を超えているといわれる。スギのほかではヒノキ、クスノキ、ケヤキなどが樹齢の長い樹木とされる。世界ではカナリア諸島にあるユリ科のリュウケツジュが樹齢7000年で世界一といわれている。また、北アメリカのカリフォルニア州にあるスギ科のセコイアオスギでは4000年の推定値が出されている。
天然記念物などに指定されている巨樹では、しばしば樹齢何百年などとうたわれるが、歴史上の文献に記述があるもののほかは根拠のない推定値がほとんどである。樹齢1000年といわれていたスギが台風で倒れたので年輪を数えたところ、三百数十年であったなどの例もある。
[鈴木三男]
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