コルク(読み)こるく(英語表記)cork

翻訳|cork

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コルク」の意味・わかりやすい解説

コルク
こるく
cork

肥大成長をする植物の幹、枝、根のいちばん外側にある保護組織で、植物体が傷を受けた部分や葉の落ちた跡にも形成される。形成層から外側に細胞分裂してできた二次篩部(しぶ)は順次外側に押し出されてゆき、通道組織としての機能を失ってゆく。この部分にはふたたび細胞分裂の能力をもったコルク形成層が新たにできる。これは、その外方にコルク組織を、内方コルク皮層を細胞分裂によって形成し、周皮となる。コルク組織の細胞は規則正しい配列を示し、原形質を欠いた中空の死細胞で、細胞壁はスベリンとよばれる脂肪酸の重合体の厚い層からなり、水や空気を通しにくい。また細胞壁にスベリンが堆積(たいせき)することをコルク化という。コルク組織がつくられると、それより外方にある二次篩部の組織は水分などの供給が受けられなくなり死んでゆく。

 スペインや南ヨーロッパに分布するブナ科のコルクガシなどではこのコルク組織が多量に蓄積する性質があり、これは一般にコルクとよばれ利用される。コルクは断熱防音、電気的絶縁性、弾力性、耐薬品性に優れ、軽く、さまざまなプラスチック製品が開発された現在でも多方面に利用される。日本産のものでは同じ属のアベマキコルク層が厚くなるが、品質ははるかに劣る。また、生物の体が細胞からできていることを発見した17世紀、イギリスの科学者ロバート・フックが用いた材料がコルクで、彼は死んだ細胞を観察したことになる。

[鈴木三男]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コルク」の意味・わかりやすい解説

コルク
cork

林産製品一つ。断熱性,摩擦係数が大きく,軽量で弾力性に富み,防湿性があり,腐食変質しないのが特性で,断熱材,救命具,履物などの材料として利用される。最優良品は地中海沿岸に生育するコルクガシ樹皮のコルク層からとったものといわれる。東アジアではあべまき樹皮のコルク層からとる。

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