コンチネント(読み)こんちねんと(その他表記)Континент/Kontinent

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コンチネント」の意味・わかりやすい解説

コンチネント
こんちねんと
Континент/Kontinent

ロシアの文芸季刊誌。亡命ロシア作家たちによって1974年に創刊され、92年までパリに編集部を置いた。それまで、編集長は一貫して作家のウラジーミルマクシーモフであった。「文学、社会・政治、宗教雑誌」という副題を掲げ、「宗教的理想主義、反全体主義、民主主義、無党派性」を編集の原則とした。「大陸」を意味する誌名は、「ソ連・東欧全体が全体主義に支配される一つの巨大な大陸であり」「それに対抗して、反全体主義の勢力を結集し、もう一つの大陸をつくりださねばならない」という認識に由来する。ソルジェニツィンシニャフスキー、ヨシフ・ブロツキーなども寄稿し、70年代以降旧ソ連を出たいわゆる「第三次亡命世代」の中心的雑誌であったが、92年からは編集部をモスクワに移し、ロシア国内の文芸誌として再出発した。

沼野充義

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コンチネント」の意味・わかりやすい解説

コンチネント
Kontinent

1974年秋に西ドイツで創刊されたロシア語の総合雑誌。編集長にソ連から亡命した作家 V.マクシーモフが就任した。編集委員にはルーマニア出身のフランスの劇作家 E.イヨネスコイタリアの I.シローネ,ソ連出身の亡命作家 A.シニャフスキーユーゴスラビアの党活動家ミロバン・ジラス,ソ連の科学者 A.サハロフらが参加。発刊の辞として,(1) 無条件に宗教的理想主義,(2) 無条件に反全体主義,(3) 無条件に民主主義,(4) 無条件に無党派性をうたった。

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世界大百科事典(旧版)内のコンチネントの言及

【異論派】より

…またアメリカのとらえたソ連大物スパイと引きかえに釈放され,国外追放される者も出た(ブコフスキー,ギンズブルグなど)。その結果,70年代には異論派は亡命者としても存在するようになり,国外で《コンチネント》《パーミャチ(記憶)》などさまざまな出版物が出され,それが国内に還流した。国内では,サハロフのゴーリキー市(現,ニジニ・ノブゴロド)追放(1980年1月22日)と,分派を超えた対話を求めたライサ・レールト,ゲフテルらの討論誌《探求(ポーイスキ)》ヘの弾圧(1979年12月)以後,80年代にはヘルシンキ条約履行監視のためのグループなどが困難な条件の中で声をあげていたが,82年9月解散に追い込まれ異論派運動は終りを告げた。…

※「コンチネント」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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