シニャフスキー(読み)しにゃふすきー(英語表記)Андрей Донатович Синявский/Andrey Donatovich Sinyavskiy

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シニャフスキー」の意味・わかりやすい解説

シニャフスキー
Sinyavskii, Andrei Donatovich

[生]1925.10.8. モスクワ
[没]1997.2.25. パリ近郊フォントネーオーローズ
ソ連生れの作家,批評家。モスクワ大学を通信学生として卒業。モスクワ大学その他で教える一方,新進文学批評家として活躍。同時に 1959年からアブラム・テルツ Abram Tertsの筆名を用いて国外でひそかに作品を発表。 65年それが発覚,7年の強制労働刑を受けた。 71年釈放され,73年パリに亡命,パリ大学講師に就任。在ソ中の評論パステルナークの詩』,筆名で発表した『社会主義リアリズムとは何か』 On Soviet Realism (1961) ,『思わぬ閃き』 Mysli vrasplokh (66) などはその才能をうかがわせる。ほかに『リュビモフ』 Lyubimov (62) ,『合唱の中の一つの声』 Golos iz khora (73) など。 89年からはソ連でも再評価された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シニャフスキー」の意味・わかりやすい解説

シニャフスキー
しにゃふすきー
Андрей Донатович Синявский/Andrey Donatovich Sinyavskiy
(1925―1997)

ロシアの作家、批評家。モスクワ生まれ。ゴーリキーの研究で学位を得、モスクワ大学などで教鞭(きょうべん)をとり、『革命初期の詩、1917―20』(1964)を著した。この間、フランスでアブラム・テルツの変名で『社会主義リアリズムとは何か』(1956)、短編『プヘンツ』(1965?)などを発表したため、65年、友人のダニエルとともに逮捕され、翌年7年の刑を宣告され、服役した。釈放後73年にはフランスへ亡命、パリ大学講師、教授を務める。その後の作品には『合唱の中の声』(1973)、『小人ツォレス』(1980)などがある。作品は幻想芸術に依拠し、スターリニズム批判に貫かれている。ペレストロイカ以後、ソ連でも再評価され、89年に一時帰国した。97年フランスで死去

[工藤正広]

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