日本大百科全書(ニッポニカ) 「シローネ」の意味・わかりやすい解説
シローネ
しろーね
Ignazio Silone
(1900―1978)
イタリアの小説家。本名セコンド・トランクィッリ。イタリア中部の農村に生まれる。1915年、故郷を襲った地震によって、両親と7人兄弟の5人までを失い、学業を中断する。その後、活発な政治活動を開始し、21年にはイタリア共産党創設に加わり、機関紙『アバングァルディア』などの主筆を務める。ファシズム台頭後も地下活動を続けるが、スターリニズムを批判して脱党。このころから作家活動を始め、30年にスイスへ亡命すると、故郷アブルッツィ地方の農民がファシズム体制下で過酷な搾取と弾圧にさらされ、ついに抵抗に立ち上がる姿を描いた『フォンタマーラ』を発表。ついで、『パンとぶどう酒』(1937)、『雪の下の種子』(1944)を刊行。本国よりもむしろ国外で有名になる。第二次世界大戦後、帰国すると、社会党機関紙の主筆を務める一方で、『ルーカの秘密』(1956)、『ある哀れなキリスト教徒の運命』(1968)などの作品を発表。ほかに政治論集なども多い。
[川名公平]