日本大百科全書(ニッポニカ) 「コンベンション法」の意味・わかりやすい解説
コンベンション法
こんべんしょんほう
正式名称は「国際会議等の誘致の促進及び開催の円滑化等による国際観光の振興に関する法律」。平成6年法律第79号。1994年(平成6)6月成立、9月施行。市町村が国際会議観光都市として国土交通大臣に認定されると、独立行政法人国際観光振興機構(JNTO)から、国際会議の誘致に関する情報の提供、国際会議開催のための寄付金の募集等の援助を受けることができる。大学等と同じく所得税法等の規定により特定公益増進法人に指定されたJNTOの名で集められた寄付金は、課税優遇措置が受けられる。なお、日本で行われる国際会議は、関係業界の寄付金が大きく期待できる医療関係学会が中心である。2010年7月までに横浜市、伊勢志摩地区等51都市・地域が国際会議観光都市として認定されている。コンベンション法が成立するに至った背景には、地域経済の活性化や地方の国際化に役だつため自治体からの要望が高まったことがある。しかし、国際会議の開催がもっとも多い東京都内の自治体からの認定申請はない。2007年に政府から国会に報告された観光立国推進基本計画では2011年までに日本で開催される国際会議を2005年の168件から5割増加させることを目標にした。UIA(国際団体連合)が従来の国際会議の基準を緩和したため、日本は開催件数を2007年には448件と大きく伸ばしているが、欧米では国際会議自体を特殊視する風潮がなくなりつつある。
[寺前秀一]
『寺前秀一著「観光・人流政策風土記(2)東京圏編」(『地域政策研究』第12巻第2号所収・2009年9月・高崎経済大学地域政策学会)』