ゴロウニン(読み)ごろうにん(その他表記)Василий Михайлович Головнин/Vasiliy Mihaylovich Golovnin

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゴロウニン」の意味・わかりやすい解説

ゴロウニン
ごろうにん
Василий Михайлович Головнин/Vasiliy Mihaylovich Golovnin
(1776―1831)

ロシアの海軍軍人ゴロブニンともいう。1806年スループ艦ディアナ号の艦長に就任。翌年世界周航に上り、その途上、千島列島南西部を調査するため南下し、1811年(文化8)国後(くなしり)島で部下7人とともに同島警備の幕吏に捕縛された。フボストフとダビドフの来襲事件のあとだけに厳しい取調べを受け、松前奉行(まつまえぶぎょう)の監視下に松前で2年間にわたる拘禁生活を送り、13年高田屋嘉兵衛(かへえ)らと交換に釈放された。この間、間宮林蔵(まみやりんぞう)の天文測量などの諮問に応じ、また、幕府天文方(てんもんがた)出役の足立左内(あだちさない)、馬場佐十郎(さじゅうろう)にロシア語を教授し、わが国ロシア語研究の進展に重要な役割を果たした。ゴロウニンの滞日中の生活は、その著『日本幽囚記』によって詳細に知ることができる。

[小林真人]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゴロウニン」の意味・わかりやすい解説

ゴロウニン
Golovnin, Vasilii Mikhailovich

[生]1776.4.19. リャザニ
[没]1831.7.11.
ロシアの海軍中将。 1792年海軍兵学校を卒業して海軍士官となり,イギリスに留学して海軍を研究,1807年帰国。『ディアナ』号艦長として世界周航を企て,アフリカのケープタウンでイギリス海軍に抑留されたが,脱出して長駆カムチャツカにいたった。 11年,千島を測量し,次いで国後,択捉に渡航したところを江戸幕府役人に捕えられ,松前で2年3ヵ月の幽囚生活をおくった。しかしロシアに捕えられていた高田屋嘉兵衛と交換条件で釈放された。のち,さらに世界周航を実行して海軍中将に進んだ。『日本幽囚記』 Zapiski o priklyucheniyakh v plenu u yapontsv v 1811~13 godakh (3巻) は松前での抑留生活の体験と,その間に見聞した日本の政治,文化,風俗など,詳しく記述したもので,各国語に訳された。日本での初訳青地林宗の『遭厄日本紀事』は文政8 (1825) 年に出された。

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