ケープタウン(読み)けーぷたうん(その他表記)Cape Town

翻訳|Cape Town

デジタル大辞泉 「ケープタウン」の意味・読み・例文・類語

ケープ‐タウン(Cape Town)

南アフリカ共和国南西部の港湾都市。国会の所在地西ケープ州州都ケープ半島の基部、喜望峰の北方に位置し、天然の良港であるテーブル湾に臨む。インド航路の要地として東インド会社が拠点を置いた。同国における鉱山開発とともに貿易港として発展。人口、都市圏350万(2007)。

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精選版 日本国語大辞典 「ケープタウン」の意味・読み・例文・類語

ケープ‐タウン

  1. ( [英語] Cape Town ) 南アフリカ共和国、ケープ州の州都。共和国議会の所在地。アフリカ最南端の港湾都市で、同国第一の貿易港。一六五二年オランダ植民地として建設され、のちイギリスに占領されて東インド航路の要地となる。公用語であるアフリカーンス語ではカープスタットKaapstad)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ケープタウン」の意味・わかりやすい解説

ケープ・タウン
けーぷたうん
Cape Town

南アフリカ共和国の南西部にある港湾都市。西ケープ州の州都であると同時に共和国議会の所在地である(旧ケープ州が4分割される1993年までは旧ケープ州の州都であった)。大西洋に突出するケープ半島の基部に位置し、テーブル湾に臨む。人口85万4616(1991)、43万3688(2011センサス)。半島部を含めたグレーター・ケープの人口は235万(2002推計では268万6000)で、人種別内訳は白人61万、カラード(混血)126万、インド人2万7000、黒人45万(1995)で、西ケープ州は現9州のうちカラードがもっとも多い。南緯約34度に位置しているため気候は地中海性気候で、夏は乾燥し冬は温和で暖かく、年平均気温は16.4℃である。降雨も適度にあり、年降水量は539.0ミリメートルである。

 1652年オランダ東インド会社のヤン・ファン・リーベックが東インドへの寄港地として初めて入植した当時の人口は白人がわずか125人であったが、その後1806年イギリス植民地となってからは入植者が増え、ケープ・タウンの白人人口は、18世紀末約5000、19世紀中葉約9400、第一次世界大戦直後8万9000、1960年約30万と急増した。とくに人口の都市集中化は、19世紀後半のキンバリーのダイヤモンド鉱の発見、ウィトワーテルスランドの金鉱の発見に伴い、ケープ・タウンがそれら鉱山を結ぶ鉄道のターミナルとなったこと、また、第一次世界大戦以後、南アフリカの工業化が進み、ケープ・タウンは貿易港として栄えたほか、おもに農産物加工を中心とした軽工業が発展し、その労働力として多くのカラード、黒人をひきつけたことが原因となっている。

 市はテーブル湾の南側に位置し、三方をライオンズ・ヘッド、テーブル山、デビルズ・ピークに囲まれている。市の中心には南アフリカ共和国議事堂、主要官庁、州政庁、市庁舎のほか、テーブル湾に向かって造船所がある。また主要銀行、ホテル、教会、博物館、病院のほか、主要日刊新聞『ジ・アーガス』紙(英語系)と『デ・ブルヘル』紙(アフリカーンス語系)の本社がある。南アフリカでは白人入植の歴史がもっとも古い所だけあって歴史的遺跡も多く、グッド・ホープ城、フロート・ケルク(教会)、コープマンス・デ・ウェット・ハウス(18世紀のオランダ風建物)などがある。南アフリカ最初の鉄道(ウェリントン線)の始発駅として1859年ケープ・タウン駅がつくられた。そのほか、ケープ・タウンの創立者リーベックの全身像が目抜き通りのアデレイ街とヘーレンフラフト街の交差点に立ち、同じアデレイ街には第一次世界大戦の戦勝記念碑がある。周囲を囲む山の麓(ふもと)は住宅地で、郊外のロンデボッシュには広大なキャンパスをもつケープ・タウン大学(1829創立)があり、海岸部は海水浴場、保養地となっている。さらに市からケープ半島を南に下ると喜望峰に達し、途中のフォルス湾には軍港サイモンズ・タウンがある。

[林 晃史]

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改訂新版 世界大百科事典 「ケープタウン」の意味・わかりやすい解説

ケープ・タウン
Cape Town

南アフリカ共和国の立法上の首都であり,西ケープ州の州都でもある港湾都市。アフリカーンス語ではカープスタットKaapstadという。大都市域人口310万(2005)。アジア系のケープ・カラードが多い。大西洋とインド洋の境界をなす喜望峰の基部に位置し,テーブル山(標高1086m)のふもとにあってテーブル湾に面している。地中海の気候に似た温帯の気候風土をもつ。1488年バルトロメウ・ディアスが最初のヨーロッパ人として来航して以来,テーブル湾はインドや東南アジア,東アジアに航行する船舶の重要な寄港地となった。17世紀に海運国として発展したオランダは,1652年東インド会社の補給基地を建設するため,ヤン・ファン・リーベークを総督としてこの地にオランダ人の植民地を開き,城砦を築いて港湾施設を整えた。ナポレオン戦争でオランダ本国が占領されたため,1795年イギリスがこの植民地を占領下に置いたが,ナポレオンが敗れると,1803年オランダに返還した。しかし当時海運国としてオランダを凌駕していたイギリスは,06年に喜望峰植民地を自国領土とした。ケープ・タウンの繁栄は1833年の奴隷解放に伴うオランダ系住民の大量流出と,69年のスエズ運河開通によって打撃をうけたが,67年に内陸のキンバリーでダイヤモンド,86年にトランスバールで金が発見されたため,繁栄を取り戻した。20世紀への変り目に起こったボーア戦争(南ア戦争)の被害は少なく,1910年イギリス帝国の自治領南アフリカ連邦成立とともにその連邦議会が置かれた。61年南アフリカ連邦はイギリス連邦を離脱し,南アフリカ共和国となったが,立法上の首都としてのこの都市の地位は変わらない。

 ケープ・タウンはこの国の地下資源の多い地域から離れているため,鉱工業面での繁栄はあまり見られず,周辺のブドウその他の農産物や水産物の食品加工が発達し,貿易港としてインド洋岸のダーバンと首位を争っている。市内には議会,州政府庁舎,博物館,美術館,植物園,ケープ・タウン大学などの政治的文化的諸施設があるほか,17世紀にオランダの建造した城塞や教会その他の史跡もあり,テーブル山や喜望峰とともに,美しい港湾都市として観光客を集める魅力をもっている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ケープタウン」の意味・わかりやすい解説

ケープタウン
Cape Town

南アフリカ共和国の立法府所在地で,西ケープ州の州都。アフリカーンス語では Kaapstad。州南西部,ケープ半島の最南端から約 50km北に位置。1652年オランダ東インド会社のヤン・ファン・リーベークにより建設され,オランダの貿易基地として発展(→喜望峰)。1795年イギリス領となり,一時オランダに返還されたが,1806年から再びイギリス領。1910年自治領として独立した南アフリカ連邦の首都となった。豊かな農業地帯を控え,古くからワイン,乾燥果実,ジャム,缶詰,水産物などの食品加工やたばこ製造が盛ん。船舶修理,石油精製,化学,繊維などの近代工業も発達し,工業地帯を形成している。テーブル山を背にテーブル湾に臨み,近代的港湾施設をもつとともに,博物館,美術館,大学などの文化・教育機関も完備。国有鉄道の南の終着駅で,国内だけでなく,ジンバブエ方面とも結ばれる。都市圏人口 310万3000(2005推計)。

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百科事典マイペディア 「ケープタウン」の意味・わかりやすい解説

ケープ・タウン

南アフリカ共和国,西ケープ州の州都。同国議会の所在地(立法上の首都)。アフリカ南端,大西洋岸のテーブル湾に臨む港湾都市で,造船,機械,農水産物加工などの工業が行われる。ヨーロッパ風の大都市で,白人のためのケープ・タウン大学(1873年創立),カラードのための西ケープ大学(1960年創立)がある。1652年オランダ東インド会社の植民地として建設され,白人による南アの植民地化の基礎となった。先住コイ人と白人やアジア人との混血であるカラードの人口が南アで最も多い。1806年英領。349万2000人(2010)。
→関連項目ケープロベン[島]

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ケープタウン」の解説

ケープタウン
Cape Town

南アフリカ共和国の立法首都,西ケープ州の州都。1652年オランダ東インド会社が築いた基地から始まる。1806年イギリス領となる。先住民系,アジア系のケープ・カラードが多い。

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旺文社世界史事典 三訂版 「ケープタウン」の解説

ケープタウン
Cape Town

南アフリカ共和国南端にある港湾都市で,同国の立法上の首都
1652年オランダが港を開いたが,1814年イギリス領となり,スエズ運河開通までヨーロッパ・アジア航路の要地となった。

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