改訂新版 世界大百科事典 「ゴンベルビル」の意味・わかりやすい解説
ゴンベルビル
Marin Le Roy de Gomberville
生没年:1600-74
フランスの小説家。アカデミー・フランセーズの創立会員の一人で,洗練された文体の美しさで知られる。《歴史功罪論》(1620)のあと,鍵小説の代表作の一つである《カリテ》(1621),次いで1629年に《ポレクサンドル》を著し,45年まで6版を重ねてこの大作の補筆修正をつづけた。続編にあたる《若きアルシディアーヌ》(1651)は未完に終わる。波乱万丈の筋が構成する長編恋愛小説の作家として,デュルフェ,スキュデリー嬢,ラ・キャルプルネードらとならび,17世紀フランスの社交界とくに婦人の間で,熱狂的に愛読された。作品中に南米や北欧など異国の風土をとり入れた点では,フランスの最初の作家とされる。
執筆者:戸張 智雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報