デュルフェ(読み)でゅるふぇ(英語表記)Honoré d'Urfé

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「デュルフェ」の意味・わかりやすい解説

デュルフェ
Urfé, Honoré d'

[生]1567.2.11. マルセイユ
[没]1625.6.1. ビルフランシュシュルメール
フランス小説家。南フランス,フォレ地方の,ルネサンスの影響を受け文芸を愛好する貴族の家に生れ,トゥルノン学院に学んだのち,カトリック同盟に参加,2度捕われの身となる。アンリ4世が勝利を収めたあと,母方の姻戚サボイア家を頼って亡命,隠棲,田園詩『シレーヌ』 Sirène (1604) ,ネオ・プラトニズムが認められる『道徳書簡』 Épîtres morales (1598~1608) を著わす。韻文で書かれた長大な牧歌物語『アストレ』L'Astrée (5部,07~27) は,恋愛心理の分析において同時代の文学,感情生活に大きな影響を与えた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「デュルフェ」の意味・わかりやすい解説

デュルフェ
でゅるふぇ
Honoré d'Urfé
(1567―1625)

フランスの小説家。マルセイユの生まれ。南フランスの教養ある貴族で、宗教戦争に敗れてサボアに亡命するなど波瀾(はらん)の多い生活を送った。愛する女性アストレに、あくまでも忠実なセラドンの恋を描いた牧歌小説の『アストレ』L'Astrée五部(1607~28。死後は秘書バロBalthazar Baro〈1600―50〉の手で書かれている)は大成功を収め、その詩情と恋愛談義はもてはやされ、17世紀フランスの感受性に大きな影響を与えた。

福井芳男

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