日本大百科全書(ニッポニカ) 「ご当地検定」の意味・わかりやすい解説
ご当地検定
ごとうちけんてい
地域の歴史や文化、その土地の有名な産物などに関する知識の理解度を判定する検定試験。各地の自治体や商工会議所、観光協会などが、地域の魅力を再発見する機会をつくるとともに、観光や産業の振興の一環として実施しており、ある地域のことに精通した人や検定愛好者が全国から訪れて受検している。人気の高い検定では、習得度に応じた上級段階を設けている場合もあり、ご当地検定攻略本が出版されたり、観光しながら歴史を学ぶ検定バスツアーが行われたりするケースもある。運営組織側としては地域を活性化する産業振興や人材開発につなげたいという意識はあるものの、専門的な技能として生かせるような資格制度とはなっていない。しかし、一部の地域では、運営母体の観光協会などが合格者の加入できるNPO団体を設け、ボランティアガイドとして活動する場を提供しているケースがみられる。また、東京観光財団と東京商工会議所が共催・実施している東京シティガイド検定の場合、検定合格が東京観光タクシードライバー認定資格の基準の一つとなっていることから、これまでの合格者の約7割がタクシー業に携わる人で占められている。
2003年(平成15)9月に特定非営利法人の日本文化普及交流機構が実施した博多(はかた)っ子検定が先駆けとなり、同年11月に東京シティガイド検定、2004年に京都商工会議所主催の京都・観光文化検定試験が開始されると、全国的なブームとなった。2010年ごろには100を超えるご当地検定が実施されていたが、2014年時点では京都・観光文化検定のように毎年7000人を超える受検者を集めている検定がある一方で、博多っ子検定をはじめ最盛期の半数近くのご当地検定が廃止という状況にある。
[編集部]