さては

精選版 日本国語大辞典

さて‐は

1. [ 1 ] 〘 副詞 〙 ( 副詞「さて」に助詞「は」が付いてできたもの ) 副詞「さて①」をとりたてたいい方。そのような状態では。そのままでは。
   1. [初出の実例]「此の燕の子安貝は悪しくたばかりて取らせ給ふなり。さてはえ取らせ給はじ」(出典：竹取物語（９Ｃ末‐１０Ｃ初）)
2. [ 2 ] 〘 接続詞 〙
   1. ① 一つの事物・事態をうけて、それ以外のものに言及するのに用いる。その他。そのうえ。そればかりか。
      1. [初出の実例]「御櫛匣(みくしげ)の物、さては、田・畑売りつくして数知らず使ひ給へば」(出典：宇津保物語（970‐999頃）忠こそ)
      2. 「いかに、其後何事かある。さては仏御前があまりにつれづれげに見ゆるに、いまやうひとつうたへかしとのたまへば」(出典：高野本平家（１３Ｃ前）一)
   2. ② 相手の発言をうけて、それを条件とした判断を導く。そういうことなら。それなら。
      1. [初出の実例]「『さらにまだ見ぬ骨のさまなりとなん人々申す〈略〉』と言たかくのたまへば、『さては、扇のにはあらで、海月(くらげ)のななり』」(出典：枕草子（１０Ｃ終）一〇二)
      2. 「『御子(おこ)はおはすや』と問ひしに、『一人(ひとり)も持ち侍らず』と答へしかば『さては、ものの哀は知り給はじ〈略〉』と言ひたりし」(出典：徒然草（1331頃）一四二)
3. [ 3 ] 〘 感動詞 〙 事情や状況、また、相手の発言や行動などで、思いあたることのある時に発する語。そう言うところをみると。そんなことをするところから思えば。それでは。
   1. [初出の実例]「さては遙かの弟ごさんなれ」(出典：保元物語（1220頃か）中)
   2. 「原来(サテハ)おん身は那(かの)二犬士の友達でをはせし歟(か)」(出典：読本・南総里見八犬伝（1814‐42）八)

出典　精選版 日本国語大辞典