改訂新版 世界大百科事典 「サラッカ」の意味・わかりやすい解説
サラッカ
salak
Salacca edulis Reinw.
マレーシア地域に生ずるヤシ科の果樹で,通常,湿地に生え,地上茎はない。葉は根生し,羽状全裂,大型で長さ4~7m。羽片は線状披針形で,長さ40~70cm,裏面は帯白色。葉柄と中軸には長さ2.5cmに達するとげがある。肉穂花序は雌雄異株,腋生(えきせい),雄の肉穂花序は長さ40~50cmで赤色の花をつける。雌の肉穂花序は長さ約2.5cmで黄緑色の花をつける。果実は球形または卵形で,しばしば角ばるものがあり,長さ約5cm,外面は褐色で,微毛刺を有する三角形の多くの鱗片でおおわれている。この鱗片はうすく,果実が完熟すると容易にはげ,内部には3個の大小不同な白色または灰白色,半透明の果肉片が,それぞれに種子を包む。甘味のある果実(果肉片)は生食されるが,一種の渋味がある。属名のSalaccaはZalacaとも書き,モルッカ諸島の現地名である。この属はマレーシア熱帯に10種あまり知られ,いずれも果実は食用に耐えるが,酸味の強い種もある。
執筆者:初島 住彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報