サーフィン(読み)さーふぃん(英語表記)surfing

翻訳|surfing

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サーフィン」の意味・わかりやすい解説

サーフィン
さーふぃん
surfing

サーフボードを用いて行う波乗りのことで、サーフボード・ライディングsurfboad ridingともいう。外海に面した海岸高波をとらえ、波の斜面をサーフボードで滑り降りるスポーツ。ポリネシア人たちの間で古くから行われており、1778年ハワイに初めて到達したキャプテン・クックの記録によると、王族を含めた島民サーフィンを楽しんでいたようすが詳しく書かれている。このハワイのサーフィンが世界に広まったのは、ハワイ出身の水泳選手デューク・カハナモクDuke Kahanamoku(1890―1968)の努力に負うところが大きい。カハナモクはサーファー(サーフィン選手)としての技術ももっており、世界各地でサーフィンを披露して、スポーツとしてのサーフィンの普及に貢献した。従来のサーフボードは木製で重く(50キログラム以上)、しかも長さが5メートル程度もあったため、愛好者が限られたスポーツであった。1950年代になって、ポリウレタンフォーム製のボードが開発されて扱いやすくなり、サーフィン人口が急速に増えた。現在ハワイをはじめ、南カリフォルニアやオーストラリアでも盛んに行われている。さらにブラジルペルーメキシコ、フランス、イギリス、南アフリカ共和国など、サーフィンのできる条件を備えた国々に普及し、いまでは世界各地の海岸で楽しまれている。

 日本では1920年代の初めごろ、板を使っての波乗りが流行したことがあるが、本格的に全国に普及したのは、1960年(昭和35)ごろ在日アメリカ人によって紹介されてからといわれている。

 サーフィンは1人でサーフボード(長さ1.5~2.7メートル・幅50~60センチメートル・厚さ7~10センチメートルのポリウレタンフォーム製)の上に乗って両手でバランスをとりながら波乗りするのが一般的であるが、このほかボディーボードサーフィン(ボードに腹ばいになる)、ニーボードサーフィン(ボードに膝(ひざ)立ちで乗る)、用具を用いないボディーサーフィンなどがある。その他の用具としては空気入りゴムマットを利用するもの、カヌーカヤックを用いるものなどもある。

 ボードは身長、体重、経験、サーフィンの種類また個人の好みに応じて選ぶが、オーダーもできる。人造ゴム製のウェットスーツも改良・開発が重ねられ、現在では季節に関係なく、一年中サーフィンができるようになった。

[石井恒男・編集部 2020年4月17日]

競技としてのサーフィン

競技としてのサーフィンのおもな種目は、ショートボード(長さの規定はないが、通常は180センチメートル前後のものが使用される)、ロングボード(長さ274.3センチメートル以上)、ボディーボード(長さ152.4センチメートル以下)の3種類がある。競技方法は、1ヒート(1試合)2~5人の選手が入水し、形状のよい波を利用したライディングや、波の上でのさまざまな技の演技を行い得点を競う。競技者は適当な位置までパドルして(漕(こ)いで)行き波に乗るが、基本的に、先に乗った者に優先権がある。1ヒートは20~30分程度で、各競技者は時間内に規定の本数(通常2本以上)のライディングを行う。得点は0.1ポイント刻みの10点満点。通常、4~5人のジャッジで採点を行い、1本の得点は各ジャッジの出した最高得点と最低得点を除いた点数の平均点とし、1ヒートの総合得点は上位2本の得点を集計したものになる。また、優先権のある選手に対する妨害などがあった場合、取得した点が集計から除外されたり、減点されるなどのペナルティーが科せられる(2018年時点で日本サーフィン連盟が採用している競技規定による)。

 2015年(平成27)には、大原洋人(おおはらひろと)(1996― )が全米オープンで初優勝を遂げたほか、2019年(令和1)には、ワールドサーフリーグ(WSL:World Surf League。プロサーフィンの国際統括組織)開催によるチャンピオンシップツアー(CT:Championship Tour)で五十嵐(いがらし)カノア(1997― )が優勝するなど日本選手が活躍した。

 2021年に開催されたオリンピック・東京大会では、開催都市が実施を提案する追加種目5競技18種目の1競技として、サーフィン(ショートボードの男子・女子)が初めて採用された。会場は千葉県釣ヶ崎(つりがさき)海岸(一宮(いちのみや)町)で、男子は五十嵐カノアが銀メダル、女子は都筑有夢路(つづきあむろ)(2001― )が銅メダルを獲得した。

[編集部 2022年2月18日]

組織

1964年、アマチュアサーフィンの国際統括組織として国際サーフィン連盟(ISA:International Surfing Association)が発足し、同年からアマチュアの世界選手権大会であるISAワールドサーフィンゲームスを開催している。日本では、サーフィン競技の発展やサーフィンの普及を図ることなどを目的として、1965年に日本サーフィン連盟(NSA:Nippon Surfing Association)が発足した。翌1966年に千葉県鴨川(かもがわ)で第1回全日本サーフィン選手権大会を開催して以降、ジュニアサーフィン選手権大会、マスターズサーフィン選手権大会などを主催している。NSAはISAに加盟しており、国際大会への選手派遣なども行っている。

[編集部 2020年4月17日]

『牛越峰統著、中和房監修『DVDで超速マスター サーフィン&ボディボードテクニック』新版(2003・成美堂出版)』『アンドレア・マクラウド著、藤牧智子訳『サーフィン・ガール入門――世界の女性トップ・サーファーたちが教える波乗りガイド』(2006・ブルース・インターアクションズ)』『栗林了二監修『サーフィン・スピードアップ・バイブル――レベルアップにはライディング・スピードは欠かせない』(2006・スキージャーナル)』『山森恵子著、Nalu編集部編『サーフィン・レジェンド――サーフィンの歴史を築いた男達の物語』(枻出版社・枻文庫)』


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サーフィン」の意味・わかりやすい解説

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