1996年に登録されたオーストリアの世界遺産(文化遺産)。ザルツブルクはオーストリア北西部のドイツとの国境に近い、ザルツブルク州の州都。ザルツブルクは「塩の城」を意味するが、その名前のとおり、紀元前から岩塩の交易によって栄え、9世紀には大司教座が置かれたことから、宗教都市として発展した。世界遺産に登録された歴史地区は、同市を貫くザルツァッハ川の左岸の旧市街(ツェントラル)一帯を指す。ここには、聖ルーペルトが696年に開いたベネディクト会の聖ペーター僧院教会やバロック様式のドームを持つザルツブルク大聖堂、ノンベルク修道院(ドイツ語圏最古とされる女子修道院)、フランチェスコ会修道院聖堂、歴代の大司教が住んだレジデンツ(宮殿)のほか、メンヒスベルク山頂に建てられたゴシック様式のホーエンザルツブルク城などの歴史的な建造物が多数集中し、「北のローマ」あるいは「北のフィレンツェ」と呼ばれる美しい都市景観をつくりあげている。ザルツブルクは数多くの芸術家を輩出した町としても知られるが、歴史地区にはモーツァルトの生家(現在はモーツァルト記念館)やザルツブルク音楽祭で有名な祝祭大劇場もある。◇英名はHistoric Centre of the City of Salzburg