改訂新版 世界大百科事典 「シェアクロッパー」の意味・わかりやすい解説
シェア・クロッパー
share cropper
アメリカで南北戦争後,南部のプランテーション大土地所有制が解体されたあとに形成されていった一種の分益小作農。解放後なんらの生活手段を持たない解放黒人と,奴隷解放によってそれまでの労働力をまったく失ってしまったプランターの双方の利害の模索のなかから,地主側が住居や耕地,種子,農具,家畜などの農耕必需品をクロッパーに提供し,クロッパー側はその代償として,彼自身と家族の労働力で耕作を引き受け,収穫の1/3から2/3近くを地主に支払う分益小作制が形成されていった。しかし収益分配の不公平に加え,天候や作物価格(主としてタバコ,綿花)の下落などによってクロッパーの生活は苦しく,ついには収穫前の作物を抵当(クロップ・リーエン)にいれざるをえなくなり,またこのシェア・クロッピング制度は黒人だけではなくしだいに白人農民の間に広く浸透してゆき,クロッパーは南部の最下層農民層を形成していった。
執筆者:長田 豊臣
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報