イギリスの随筆家チャールズ・ラムと姉メアリとの共同作品。1807年刊。子供が古典に近づく助けにしたい希望から、シェークスピアの劇作品中20編を選び、喜劇はメアリが、悲劇はチャールズが、子供向きに再話した。複雑な構成の原作を簡潔にし、原作の精神をとらえ、せりふのことばをそのまま生かそうとした意図が成功して、児童文学の古典の一つとされている。収録された作品は『あらし』『真夏の夜の夢』『冬の夜話』『お気に召すまま』『ベロナの二紳士』『ベニスの商人』『リア王』『マクベス』『じゃじゃ馬馴(な)らし』『十二夜』『ロメオとジュリエット』『ハムレット』『オセロ』『から騒ぎ』『シンベリン』『終りよければすべてよし』『まちがいの喜劇』『しっぺがえし(尺には尺を)』『アセンズのタイモン』『ペリクリーズ』である。
[神宮輝夫]
『『シェイクスピア物語』(松本恵子訳・新潮文庫/野上弥生子訳・岩波少年文庫)』
…このような人生苦のうちにも彼の文学へのあこがれは消えず,多くの文人と交わり,古典文学を愛読し,観劇を楽しんだ。初期の詩作や劇作は成功せず,新聞・雑誌に雑文を寄稿していたが,姉との共著《シェークスピア物語》(1807)は広く読まれ,また《シェークスピア時代イギリス劇詩人抄》(1808)は忘れられた文学の発掘,再評価として歴史的意義がある。しかしラムの名を高からしめたのは,イギリス・エッセー文学の最高傑作《エリア随筆》である。…
※「シェークスピア物語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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