改訂新版 世界大百科事典 「シチューキン」の意味・わかりやすい解説
シチューキン
Sergei Ivanovich Shchukin
生没年:1854-1936
帝政ロシア時代の実業家,美術コレクター。モスクワに生まれ東方織物の輸入業を営む。1890年代よりパリの画商(ボラール,カーンワイラー,ベルネーム・ジュヌBernheim-Jeune)や画家たちと接し,優れた眼識によりモネ,ドガ,セザンヌ,ゴーギャン,ゴッホ,マティス(37点),ピカソ(54点)など近代フランスの作品を収集。とくにマティスとは親交があった。モロゾフのコレクションとともに彼の収蔵品は,マレービチらロシアの若き画家たちに大きな刺激を与えた。革命直後収蔵品は国家の所有となり,1948年以後エルミタージュ,プーシキン両美術館に収蔵されている。晩年は,芸術家のよき理解者として,パリで過ごす。
執筆者:濱田 靖子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報