日本大百科全書(ニッポニカ) 「シュタイナハ」の意味・わかりやすい解説
シュタイナハ
しゅたいなは
Eugen Steinach
(1861―1944)
オーストリアの生理学者。プラハのドイツ大学生理学教授を経て、1912年ウィーン科学アカデミー生物学研究所の生理学部長となり、1919年ウィーン大学教授。1920年、若返り法として精管結紮(けっさつ)法を提唱した。ネズミの精管を結紮すると、副睾丸(こうがん)および睾丸の中に精子が鬱積(うっせき)して、精細胞がだんだん退化し、ついには吸収されてしまう。そのかわりに、内分泌をつかさどる間質組織が増殖して、内分泌機能が旺盛(おうせい)となって若返る。この手術を人体に応用したとき、動物実験の結果と同じかどうかの点は、賛否さまざまであった。シュタイナハの手術は一時世界各国で流行したが、その後人体では動物実験ほどの効果がないとの説が多くなり、今日では行われていない。
[古川 明]