シルーク族(読み)シルークぞく(その他表記)Shilluk

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シルーク族」の意味・わかりやすい解説

シルーク族
シルークぞく
Shilluk

スーダン南部から南スーダンにかけてのナイル川とその支流に沿ったサバナに居住する民族。自称チョロ Cholo。人口は 50万以上と推定される。ナイロ=サハラ語族のルオ語群に属する言語を話す。主作物としてコムギトウモロコシなどを栽培する半農半牧民であるが,ウシは諸価値の中心である。各集落は,1~50程度のホームステッドからなる合同家族で構成される。100ほどの集落は,外婚制父系出自集団となっているが,すべて一つの高い稜線上に位置するために,雨季にも自由な交通ができる。このため,社会的統合が著しく,首長と神なる王とを有する。王は,神話的な文化英雄ニイカンから出自し,彼の生命は代々の王の身体に内在すると考えられている。神なる王は,統治者であるだけでなく,祭司であり,民族の統合と複雑な宇宙論の中心的な存在である。王は,雨乞いなど豊饒多産儀礼に責任をもつが,世俗的な権力はもたず,かつては力が衰えると殺害されたといわれる。王の就任儀礼には,王国の南半分と北半分による壮大な模擬戦が付随し,それは中央にあたるファショダ(のちの南スーダンのクドゥーク)で行なわれた。ジェームズ・ジョージ・フレーザー王殺し論の一モデルとなった民族である。

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