シロキサン(その他表記)siloxane

改訂新版 世界大百科事典 「シロキサン」の意味・わかりやすい解説

シロキサン
siloxane

H3SiO(SiH2O)nSiH3で表される化合物総称炭化水素エーテルに相当するSi-O-Si結合をもつ。n=0にあたるジシロキサンH3SiOSiH3n=1にあたるトリシロキサンH3SiOSiH2OSiH3などがある。一般にシラノールHnSi(OH4-nの縮合,シランSinH2n+2の部分的加水分解ハロゲノシラン,シリルアミン(H3Si)nNH3-n加水分解などにより得られる。モノマー(単量体)に相当するSiH2Oはプロシロキサンprosiloxaneと呼ばれる気体であるが,単離されてはいない。ジシロキサンはモノクロロシランSiH3Clの加水分解により生ずる。

 2SiH3Cl+H2O=H3SiOSiH3+2HCl

無色無臭,発煙性の気体で,融点-144℃,沸点-15.2℃。ジブロモシランSiH2Br2の加水分解によって得られるプロシロキサンは直ちに重合して無色無定形の固体(SiH2O)nとなる。シロキサンの水素をアルキル基アリール基で置換した化合物は多数得られている。ケイ素樹脂,シリコーン油,シリコーングリース,シリコーンゴムなどはシロキサンの有機物誘導体である。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シロキサン」の意味・わかりやすい解説

シロキサン
しろきさん
siloxane

シロキサン結合Si-O-Siを含む化合物の総称。ケイ素原子の数により、ジシロキサン、トリシロキサンなどと命名される。[RnSiO(4-n)/2]m(Rはアルキル、アリール基)型の重合体はシリコーンとよばれる。有機(オルガノ)ハロゲノシランの加水分解によって得られる。たとえば、モノブロモシランSiH3BrからジシロキサンH3Si-O-SiH3が得られる。ジクロロジメチルシランSi(CH3)2Cl2を加水分解して蒸留すると、環状のジメチルシロキサン[(CH3)2SiO]n(n=3~9)が留出し、線状のポリジメチルシロキサンHO[(CH3)2SiO]nHが残る。ハロゲノシラン類からシリコーン油、シリコーンゴム、シリコーン樹脂などの有機ケイ素化合物製造の際の中間体として重要である。

[守永健一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「シロキサン」の解説

シロキサン
シロキサン
siloxane

Si-O結合(シロキサン結合)をもつ化合物の総称.鎖状のH3SiO-(SiH2O)n-SiH3構造をもつもの,側鎖をもつもの,環状構造のものがある.相当するシランよりは安定であるが,Hを炭化水素基で置き換えたもの(シリコーン)よりはずっと不安定である.n = 0のジシロキサンH3Si-O-SiH3は,モノブロモシランの加水分解で得られる.

2SiH3Br + H2O → SiH3OSiH3 + 2HBr

無色,発煙性の気体.融点-144 ℃,沸点-15.2 ℃.酸素のないところでは安定であるが,酸素に触れると発火爆発する.n = 1のH3Si-O-SiH2-O-SiH3は,トリシロキサンとよばれる.さらにnが大きいものはポリシロキサンとよばれる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シロキサン」の意味・わかりやすい解説

シロキサン
siloxane

シロキサン結合 Si-Oを含む化合物の総称。ジシロキサン (SiH3)2O ,トリシロキサン (SiH3O)2SiH2 などがある。一般にシリコーンはシロキサンの誘導体とみなされる。

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