日本大百科全書(ニッポニカ) 「シリコーンゴム」の意味・わかりやすい解説
シリコーンゴム
しりこーんごむ
silicone rubber
ケイ素ゴムともいう。ASTM(アメリカ材料試験協会)の規格による略称はQ。生ゴムは、オルガノシロキサン結合単位-Si(R,R')-O-が数千以上の線状重合体であり、透明でやや流動性を示す粘弾性体である。有機の基R、R'がメチル基のポリジメチルシロキサン(MQ)は有機過酸化物で架橋する。メチル基の一部をビニル基にかえたビニルシリコーンゴム(VMQ)は通常の硫黄(いおう)加硫ができる。一部がフェニル基で置換したフェニルシリコーンゴム(PMQ)やフルオロアルキル基で置換したフルオロシリコーンゴム(FVMQ)などがある。加硫のときシリカなどの無機充填(じゅうてん)剤を加える。加硫ゴムは耐熱性と耐寒性がとくに優れており、200℃から零下90℃の広い温度範囲で使用できるものがある。耐オゾン性、耐油性、耐水性、電気特性なども優れており、膜は気体透過性が大きい。欠点は、引張り強度、引裂き強度および伸びが通常のゴムより劣り、価格も高い。特殊ゴムとして航空機や自動車など高温の場所に使われるパッキング、シーリング、ガスケット、電線やケーブルの被覆、医療用品や食品関連用品などの用途がある。
液状シリコーンゴムは、一般に普及している室温硬化タイプと、やや高温で硬化するタイプがある。さらに空気中の水分で硬化する一液型と、硬化剤により架橋する二液型がある。建築用シーラント、電気絶縁材、型取り印象材、ゴムロールなどに使われている。
[福田和吉]