シンチカメラ(読み)しんちかめら

デジタル大辞泉 「シンチカメラ」の意味・読み・例文・類語

シンチ‐カメラ

シンチレーションカメラ

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シンチカメラ」の意味・わかりやすい解説

シンチカメラ
しんちかめら

シンチレーションカメラscintillation cameraの略。生体内に投与されて、特定の臓器に分布する放射性同位元素から放出されるγ(ガンマ)線を体外計測して、おもにその機能と形態の診断をする装置。シンチカメラは、シンチスキャナと同様に検出器、波高分析器、計数器、表示装置などで構成されるが、検出器が固定されているため検査時間が短く、解像力もよいという特徴をもっている。また、シンチカメラでは、検出器に大きなヨウ化ナトリウムの結晶板(直径20~50センチメートル)、複数の光電子増倍管(19~61本)を用いることがシンチスキャナと違う点である。γ線はヨウ化ナトリウムの結晶板に入射すると閃光(せんこう)が発せられ、この閃光は光電子増倍管によって電気信号に変換される。ついでこの信号が表示装置に送られ、X線フィルム、あるいはCRT陰極線管。一般にいうブラウン管)の対応する部位に記録されることになる。この操作を一定時間(数秒~数分)続けると、検出器下の放射能分布が一枚の画像(シンチグラム)として得られる。

 シンチカメラは、撮影時間が短いので、多方向のシンチグラムを短時間で得られるほか、経時的に臓器内の放射能分布の変化も記録できるという利点をもっている。また、コンピュータと接続することによって画像データの採取、処理にさまざまなくふうを加えることができる。たとえば心臓では、画像データの収集と同時に被検者からの心電図の信号を長時間収集し、心拍周期を10~16に分割しておのおのの時間に相当する画像データで画像を再構成する心電図同期法がある。この方法では、1心拍周期を10~16画像で表現できる。これらの画像を解析することにより、心臓の壁運動、ポンプ機能などの生理的な情報を得ることができる。また、シンチカメラの検出器を被検者に沿って回転させて得た画像データを処理することにより、臓器内の放射能分布の断層画像が得られる。脳、心臓などの複雑な形態の臓器内の放射能分布は、通常の二次元画像では評価がむずかしく、SPECT(single photon emission CT)画像で評価している。このようにシンチカメラは、シンチスキャナにかわり、核医学の中心となっている画像表示装置である。

[西川潤一]

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世界大百科事典(旧版)内のシンチカメラの言及

【シンチグラム】より

…これは,測定装置としてシンチスキャナーを用いていたことによる。しかし,今日では大部分がシンチカメラによって画像を得ていることから,シンチグラムという。これら検査法をシンチグラム検査,シンチグラフィーscintigraphy,RIイメージングRI‐imagingと呼ぶ。…

※「シンチカメラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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