日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジャヤワルデネ」の意味・わかりやすい解説
ジャヤワルデネ
じゃやわるでね
Junius Richard Jayewardene
(1906―1996)
スリランカ民主社会主義共和国の政治家。スリランカのコロンボの生まれ。セイロン法律専修学校を修了後、1930年代初めにセイロン国民会議派に参加し、スリランカの反英独立運動に投じた。1946年に創設された統一国民党に横滑りし、以後、同党の重要な指導者として閣僚も経験する。1948年、スリランカは独立し、1951年にはサンフランシスコで開催された対日講和会議に同国代表団の首席として出席した。以後、一貫して統一国民党の指導者の地位にあったが、1977年に新体制のもとで大統領に就任した。その思想的な基盤は仏教と民主社会主義にあり、具体的にスリランカの将来をダルミシタ(正義と公正)社会の実現に置いた。結果的に同大統領のもとで、同国のマイノリティ(少数者集団)としてのタミルの存在と権利が軽視・無視されることになった。1983年以後、シンハラ対タミルのエスニック(民族)紛争は武力対決化し、解決点を見出せないまま、今日に及んでいる。そうした対立の責任の一端はこの政治家にある。
[中村平治]