ジュリヤンソレル(その他表記)Julien Sorel

改訂新版 世界大百科事典 「ジュリヤンソレル」の意味・わかりやすい解説

ジュリヤン・ソレル
Julien Sorel

フランスの作家スタンダールの小説《赤と黒》の主人公。片田舎下層階級の出身ながら,才智と美貌に恵まれ,偽善を唯一の武器として立身の道を切りひらいてゆくこの青年は,しばしば野心家の代名詞とされるが,むしろ強調すべきは彼が挫折する野心家だという点であろう。偽善に身をよろいつつも彼の本質は情熱的夢想家であり,明晰冷徹を旨としながら彼は絶えず内面の情熱,自らの感受性に裏切られ続け,ついに破滅へと向かう。〈己の身分の卑しさに反抗した田舎者〉と自らを規定する彼は,時代が生んだ,時代に反抗する人物であり,時代に押しつぶされて死ぬほかない。それがこの作品の〈1830年年代史〉という副題の含む告発なのである。モデルは作者の故郷に近い寒村で殺人未遂事件を起こした元神学生アントアーヌ・ベルテで,事件の概要は作品中でかなり忠実になぞられている。しかし,いうまでもなく,最大のモデルは作者自身にほかならず,冷徹を希求する男がつねに自らの感性犠牲になるという意味で,これは作者の自画像であり,最愛分身なのである。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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