日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジンジャントロプス」の意味・わかりやすい解説
ジンジャントロプス
じんじゃんとろぷす
Zinjanthropus
イギリスの人類学者のL・リーキーが、1959年にタンザニアのオルドワイ渓谷で発見した猿人頭骨に名づけられた分類学上の属名。正式にはジンジャントロプス・ボイセイという。ジンジ(アラビア語で東アフリカ)とアントロポス(ギリシア語でヒト)の合成語。付近からオルドワン型石器が出土していることから、猿人がもっとも粗製ながら文化遺物を有していたとして、学界の関心を集めたが、リーキーはのちにその出土層の下の層からホモ・ハビリスと称する人骨を発見し、石器製作者はホモ・ハビリスであるとした。今日、ジンジャントロプスはアウストラロピテクス・ロブストゥスの一員、もしくはアウストラロピテクス・ボイセイとすべきものとみなされている。
[香原志勢]