日本大百科全書(ニッポニカ) 「すす病」の意味・わかりやすい解説
すす病
すすびょう / 煤病
植物の葉や枝の表面に黒色のカビが生育し、煤がついたようになる病気の総称。サカキ、マサキ、アオキ、ツバキ、サザンカなどの庭木類、マツ、カシ、ナラなどの針葉樹や広葉樹、タケ・ササ類、ミカン・カキなどの果樹類に発生し、被害を受ける。すす病菌は種類が多く、分類学的にもまだ検討を要するものが多いが、多くは子嚢(しのう)菌類のカプノデウム科Capnodiaceaeに属する。いずれも、アブラムシやカイガラムシなどの昆虫が植物体についたのちに、その分泌物を栄養として繁殖し、植物の組織に寄生し、直接栄養はとらない。しかし、葉の表面が煤状になるため見かけが悪くなり、果実や盆栽など商品価値がなくなるだけでなく、同化作用や蒸散が妨げられるので樹勢が衰える。夏季の高温、多湿、通風不良などは病気の誘因になる。防除には、浸透性殺虫剤などを使ってアブラムシやカイガラムシを駆除すると同時に、有機銅剤やTPN剤(「ダコニール」)などの殺菌剤を散布して、直接菌の発育を防止する。
[梶原敏宏]