通風
つうふう
cross ventilation
窓のような比較的大きな開口を開放して室内風速を大きくし、大量の自然換気を行うこと。夏季に風力を利用して室内に可感気流を生じさせ、人体からの熱放散を盛んにして温感を下げることが通風の目的である。
温感に与える熱環境の要素は温度、湿度、風速、放射熱で、このうちの一つの要素だけでも変化が生じれば温感は変動する。風速以外の三要素が変化しないときに風速が大きくなれば、人体の熱および表面の水分蒸発が促進され、有効温度は下がり、人体は涼しく感じる。夏季の通風換気における室内風速は50センチメートル毎秒以上が必要とされる。
通風をよくするには通風経路、窓の開口面積、窓の開き方など十分考慮しなければならない。一般的な引き違い窓の場合、風上側窓前に障害物がなく、通風経路が室全体にわたるように、風上側の窓をできるだけ大きく、主風向に対して垂直に設けるとともに、風下側の窓も十分大きくとることが必要である。通風量は室内風速に比例し、室内風速は外部風速に比例するから、外部風速が大きければ通風量も大きい。外部風速に対する室内風速の比を通風比または通風率といい、これができるだけ一に近く、かつ室内一様になることが望ましい。わが国の夏季のような高温多湿地域では、住宅設計に際して通風計画に考慮を払うことが肝要である。
[水畑雅行]
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通風
つうふう
draft; draught
(1) 燃料の燃焼に必要な空気を炉やボイラに送ること。煙突による自然通風と送風機などによる人工通風とがある。さらに人工通風には送風機を炉の前に据付けて大気圧以上の空気を強制的に押込む方式 (押込通風) ,煙道の終端に通風ファンを設けて煙道ガスを吸出す方式 (吸出通風) ,およびこの両者を併用した方式 (平衡通風) とがある。 (2) 換気装置において空気の吸込み口または吹出し口付近に感じる空気の流れをいう。
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つう‐ふう【通風】
〘名〙
① 風を通すこと。空気の流通の悪い所へ新鮮な空気を通わせること。
風通し。
※江戸から東京へ(1921)〈矢田挿雲〉六上「之を近世公園学の見地たる建造物の配置〈略〉通風(ツウフウ)の善悪、四季植物の配合など」
※自由学校(1950)〈獅子文六〉触手「この二階は、わりと通風が悪く」
② 全体に共通してみられる風潮。
※米欧回覧実記(1877)〈
久米邦武〉一「喫煙飲酒の戒は、西洋の通風なれども」
とおり‐かぜ とほり‥【通風】
〘名〙 さっと吹き過ぎる風。
※俳諧・信徳十百韻(1675)「もののすがたぞきえて失にき 舞灯籠たまりもあへぬ通り風」
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つう‐ふう【通風】
[名](スル)風を通すこと。空気の流通をよくして新鮮な空気を通わせること。かぜとおし。「通風のよい部屋」「通風口」
[類語]風通し・通気・換気
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つうふう【通風】
室内の空気を流通させること。窓などの開口部を開放するなどして自然換気を行うこと。◇「風通し」ともいう。
出典 講談社家とインテリアの用語がわかる辞典について 情報
通風(その他の代謝異常)
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報
世界大百科事典内の通風の言及
【換気】より
…給排気ともに機械力による方法,給気のみ機械力による押込み法,排気のみ機械力による吸出し法とに分類され,厨房,便所,浴室などでは,機械換気を用いる場合は,吸出し法によって室内圧を負にして汚染空気が他の室へ漏れないようにする。自然換気のうち,風力換気は風上と風下の圧力差によって換気を行うもので通風ともいう。換気量は風速に比例し開口面積とともに多くなる。…
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