スティルチェス積分(読み)スティルチェスせきぶん(その他表記)Stieltjes integral

改訂新版 世界大百科事典 「スティルチェス積分」の意味・わかりやすい解説

スティルチェス積分 (スティルチェスせきぶん)
Stieltjes integral

スティルチェスT.J.Stieltjes(1856-94)がリーマン積分拡張として定義した積分である。区間axb有界関数fx),gx)があるとき,リーマン積分の場合と同様な近似和

を作る。分割を一様に細かくしていくとき,この近似和が一定の値に近づく場合に,その値をfx)のgx)に関するスティルチェス積分,詳しくはリーマン=スティルチェス積分といい,と書く。gx)=xの場合がふつうのリーマン積分である。fx),gx)の一方が有界変動,他方が連続ならばリーマン=スティルチェス積分が存在する。またそのとき,部分積分法の公式,が成立する。とくにgx)の導関数g′(x)が存在して連続ならば,が成立する。
積分
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スティルチェス積分」の意味・わかりやすい解説

スティルチェス積分
スティルチェスせきぶん
Stieltjes integral

f(x) および g(x) を閉区間 [ab] で定義された有界な関数とし,[ab] の分割 Δ を,ax0x1x2x3<…<xnb とする。この分割 Δ に対し,[xixi-1] に含まれる任意の点 ti を選んで,和
をつくる。分割 Δ の幅のうちで最大のもの,すなわち δ= max (xixi-1) を限りなく0に近づけるとき,あらゆる分割の仕方,およびそれに応じる ti のとり方にかかわらず SΔ が一定の極限値に収束するならば,その極限値を
と書き,関数 g(x) を用いてつくられる f(x) のスティルチェス積分という。

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