イソプレンやブタジエンを重合して得られる立体規則性構造に富んだゴムの総称。立体規則性ゴムともいう。天然ゴムの立体構造はほぼ純粋なシス-1 ,4結合のポリイソプレンである。イソプレンの結合様式にはシス-1 ,4結合,トランス-1 ,4結合,1 ,2結合,3 ,4結合の4種類があり,多くの化学者が天然ゴムをめざしてイソプレンの重合を試みたが,これらが互いにまざり合った構造のポリイソプレンが得られるにすぎず,天然ゴムと同じ立体構造のポリイソプレンを合成することは長い間,化学者の夢にとどまっていた。しかし,チーグラー触媒や,有機リチウム触媒の開発により,1950年代に高シス-1,4結合のポリイソプレン(イソプレンゴム),高シス-1,4結合のポリブタジエン(ブタジエンゴム)の合成が相次いで可能となった。これらはいずれもすぐれた性質の合成ゴムであり,それぞれ工業生産へと発展した。また,触媒成分の組合せや比率を選ぶことによって,ほぼ純粋なトランス-1,4-ポリイソプレン,ポリブタジエンも合成することが可能になった。このように,希望する立体構造をもつゴムを合成できるようになったことは画期的なことであった。
→合成ゴム
執筆者:住江 太郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ブタジエンやイソプレンからつくられ,主鎖に立体規則性を有し,すぐれた物性を示すゴムを総称していう.チーグラー-ナッタ触媒やアルカリ金属を触媒とする重合でつくられる.[別用語参照]イソプレンゴム,ブタジエンゴム
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…日本においても66年を境に合成ゴムの使用量が天然ゴムのそれを上回った。
[ステレオゴムと熱可塑性ゴム]
1953年,西ドイツのK.チーグラーによって発見され,その後イタリアのナッタG.Nattaによって展開されたチーグラー触媒は,有機金属化合物と遷移金属化合物とを組み合わせた触媒であるが,この系統の触媒を使用して高シス‐1,4ポリイソプレン(イソプレンゴム),高シス‐1,4ポリブタジエン(ブタジエンゴム)などの立体規則性ポリマーの合成が可能となり,いわゆるステレオゴムの登場として注目を集めた。とくに高シス‐1,4ポリイソプレンは天然ゴムとほとんど同じ立体構造をもった合成ゴムであり,天然ゴムと同じものを合成しようという化学者の念願がここにほぼ実現するに至った。…
※「ステレオゴム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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