立体規則性重合(読み)りったいきそくせいじゅうごう

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

立体規則性重合
りったいきそくせいじゅうごう
stereoregular polymerization

立体特異性重合ともいう。ビニル重合で主鎖の不斉炭素原子のDとL(右旋性と左旋性)の配置、あるいは主鎖に二重結合をもつ重合体(ポリマー)の幾何異性(シスとトランス)のような分子の立体的な配列に規則性をもつようなポリマーをつくる重合反応をいう。一般的なラジカル重合では1分子中の各不斉炭素原子の左右の配列は不規則であった。1955年に立体規則性重合の例がイタリアのナッタによってみいだされた。プロピレンの重合で、TiCl3-Al(C2H5)3(ツィーグラー‐ナッタ触媒)の不溶性複合触媒を用いて、従来得られなかった高結晶性、高分子量の立体規則性重合体を合成した。[垣内 弘]

立体規則性重合体の構造

このポリマーはアイソタクチックポリマーといい、炭素‐炭素を結ぶ結合上を人間が歩いたとすれば、その人の頭上にいつも側鎖の置換基Rをみいだす。もちろんRがつねに足下にあってもかまわない。このようなものをいい、上と下に交互にRをみるような配置はシンジオタクチックという立体規則性ポリマーであり、上と下にみいだす割合は不規則だが長い高分子が全体として半分ずつという場合の配位をアタクチックとよび、アタクチックが一般的な重合の生成物である。また二重結合を2個含む化合物の重合ではシスとトランスの幾何異性体も生じる。この立体規則性ポリマーの生成を支配するのは触媒の性質による。プロピレンはその構造から考えてラジカル重合はしにくいが、酸を触媒とするイオン重合では軟らかいグリース状のポリプロピレンしか得られないが、先のアイソタクチックのポリプロピレンは優れた物性をもち工業的に生産されている。
 立体規則性重合を行う反応条件としては触媒の性質、重合温度、溶媒などが関係してきて、複雑な機構を経由する。[垣内 弘]

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世界大百科事典内の立体規則性重合の言及

【ポリプロピレン】より

…イタリアのG.ナッタはこのチーグラー触媒の改良研究を進め,54年,トリエチルアルミニウム‐三塩化チタンAl(C2H5)3‐TiCl3(チーグラー=ナッタ触媒と呼ばれる)によってプロピレンが重合し,結晶性,高融点のポリプロピレンが得られることを発見した。この結晶性ポリプロピレンの発明は高分子における立体規則性重合の端緒となったもので,チーグラーとナッタはともに63年のノーベル化学賞に輝いた。工業化は1957年イタリアのモンテカチーニ社(現,モンテジソン社)で行われた。…

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