知恵蔵 「スポーツツーリズム」の解説
スポーツツーリズム
日本にはプロ野球、Jリーグ、大相撲など、様々な観戦スポーツイベントがある上、2020年には東京オリンピックが開催される。また、各自が取り組み楽しむスポーツも盛んで、テニス、ゴルフなどの他、スキー、トレッキング、海水浴、ダイビングなど、各地の自然環境を活用したアウトドアスポーツもある。各地で開催されている市民マラソンのようなイベントや大会も多い。スポーツツーリズムという言葉は、このような豊富なスポーツが観光資源になるという見方がされる中で、日本でも普及・定着してきた。すなわち、スポーツを見たり、大会に参加したり、参加者の応援をしたりすることが主要な動機で、それに周辺の観光を合わせた旅行には潜在的なニーズがあるという見方である。
日本では、観光立国の実現に向けた政策的な動きの中で2010年に「スポーツ観光」が取り上げられた。スポーツや観光・旅行関係の団体・企業、メディア、関係省庁などによる「スポーツ・ツーリズム推進連絡会議」が設立され、「スポーツツーリズム推進基本方針」を取りまとめた。この基本方針では、スポーツを「観る」、「する」だけでなく、大会の運営などスポーツを「支える」地域・団体などにも着目し、大会ボランティアとしての参加などもスポーツツーリズムの一つと位置付けている。12年には、企業や自治体、スポーツ団体などの会員からなる「日本スポーツツーリズム推進機構」が設立され、地域組織の設立や人材育成などを支援している。スポーツツーリズムは、単なるスポーツ観光にとどまらず、それによる波及効果に対する期待を含んだ言葉といえる。
(原田英美 ライター/2017年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報