日本大百科全書(ニッポニカ) 「スミツキカノコ」の意味・わかりやすい解説
スミツキカノコ
すみつきかのこ / 墨付鹿子
horned squirrelfish
blackblotch squirrelfish
red and white soldierfish
[学] Sargocentron melanospilos
硬骨魚綱キンメダイ目イットウダイ科に属する海水魚。前鰓蓋骨(ぜんさいがいこつ)の下端の角部に強くて長い1棘(きょく)があり、臀(しり)びれの軟条は10本以下であることでイットウダイ亜科に属す。和名は体の黒斑(こくはん)と白色の鹿の子(かのこ)模様に由来する。八丈島、小笠原(おがさわら)諸島、紀伊半島南部以南、台湾南部、インド洋、西太平洋に分布する。体は側扁(そくへん)して体高はやや高く、硬くて粗雑な鱗(うろこ)で覆われる。涙骨(るいこつ)(上顎(じょうがく)の上縁を覆う骨)の背縁に棘(とげ)がない。上顎の前端は下顎の前端よりも前に突出する。後鼻孔(こうびこう)の縁辺に小棘がある。側線鱗(そくせんりん)数は32~36枚、側線上方横列鱗(おうれつりん)数は2.5枚。体色は赤みがかった黄金(こがね)色で、目の後方の鰓蓋部に赤色の2縦帯がある。背びれと臀びれの軟条部の基底と尾びれの基底中央部に黒斑がある。背びれ棘部基底、尾びれの背腹縁辺、臀びれ棘部および腹びれ縁辺は濃赤色。胸びれの基部上端は黒い。全長は約25センチメートルになる。やや深いサンゴの群落域や岩礁域に生息し、夜間に活動し、甲殻類、魚類などを捕食する。釣りや刺網(さしあみ)で漁獲し、焼き魚などにするとおいしい。
[尼岡邦夫 2016年10月19日]