大学事典 「スヴェーリエ語化」の解説
スヴェーリエ語化
スヴェーリエごか
スウェーデン(スヴェーリエSverige)が,1658年のロスキレ条約によって,デンマーク領であったスコーネを編入した後に展開された「スウェーデン化政策」政策の一環。デンマークの言語・文化を持つスコーネでは,スウェーデン領となった後も約20年にわたって引き続きデンマーク語が用いられていた。そのためスウェーデンは「スコーネの人々をスヴェーリエ人にすることが文明化である」とする考えのもと,自国の統治の強化を図る目的で,宗教・教育・法制などのスウェーデン式への改変を要求した。スヴェーリエ語(スウェーデン語)の使用もこうしたねらいのもとで命じられたものである。当時のヨーロッパは,巨大な宗教戦争がウェストファリア条約(1648年)によって終結し,統一的なキリスト教世界が主権国家群の体制へと決定的に移行し始めていた。こうした時代の最初の大学の一つとして1666年,スコーネ地方に新設されたルンド大学(スウェーデン)は,象徴的にもかつてのストゥディウム・ゲネラーレ跡に建てられ,のちに近代大学の使命と公認される自国文化の普及の役割を,スウェーデン語教育を筆頭に,占領地で果たしたのである。
著者: 渡邊あや
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報