日本大百科全書(ニッポニカ) 「ずり弾性率」の意味・わかりやすい解説
ずり弾性率
ずりだんせいりつ
剛性率ともいう。ずりは物体の形が変わるが体積は変化しない変形で、その例を に示す。図において角θをずりの角といい、tanθがずりひずみの大きさSを表す。フックの法則に従う弾性固体ではこのずりひずみは、単位面積当りのずりの力、すなわちずり応力Tに比例する。TとSとの比をずり弾性率という。すなわち、ずり弾性率GはG=T/Sで表される。流体(液体、気体)では、流れがおこるので、ずり応力は生ぜず、したがってGはゼロである。
固体のずり弾性率を測定するのには、針金のような細長い試料をねじるとか、固体中を伝わる横波(よこなみ)(ずり波)弾性波の速度を測るのが一般的である。液体ではずり弾性はないが、飴(あめ)のような粘い液体では、ずりひずみによってすぐには流動がおこらず、初めは固体のようにずり応力を示す。しかし時間とともにこのずり応力は減衰(緩和)する。このような液体を粘弾性液体という。
[和田八三久・西 敏夫]